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こば農だより(2020年1月号)2年前の営業がいま

2020年度の作付計画が完成しました。この計画で1年の売上げが決まります。何度も何度も計画しては、ひとりレビューを繰り返し、気が付いたら70パターン目になっていました。妻が呆れていたので、相当な時間を費やしたと思います。 結果、主役を「オクラ」、その前後に「ズッキーニ」、「ほうれん草」の計3品目で、連作覚悟のほ場フル回転、いけいけ慣行栽培にしました。「よし、これで昨年の2倍の売上で最低目標達成だ!」と意気込んでいた時、スマホに登録のないの1本の電話がかかってきました。1月下旬のことです。 電話は2年前に熊本市内で営業をした有機野菜のお店でした。内容は「赤しそ」の栽培依頼で出荷は梅の時期にあわせた6月。この時期は、春ズッキーニの最盛期、オクラの出始めで、こばやし農園でこれ以上の栽培ができる状況ではありません。なにより、有機JASはやめているし、苦労して完成した年間作付計画を変更したくありません。こちらの事情を説明し丁重にお断りをしました。 赤しそ農家が高齢で栽培ができなくなった。他の農家に依頼をしたが栽培してくれるところがない。でも、ないと困る。と電話口でとても困っていました。だんだん気の毒になってきて「計画に差し込めないか検討します」といったん電話を切りました。 どう考えても「赤しそ」はオーバーフローです。妻と相談し、悩んだ結果、やっぱり無視できないとなり、計画はそのままで、空きほ場で注文分だけ赤しそを栽培することにしました。 5日間だけのお手伝いで妻のお母さんとそのお友達に「葉っぱ取り」の内職をお願いし、袋詰めや出荷準備は夜な夜なこちらで乗り切ることにしました。種は市販されていなので種苗メーカーに依頼してすぐに郵送してもらいました。 電話があった一週間後、段取りがついたので、有機のお店へこちらの条件をお伝えし、無化学肥料、無化学合成農薬で赤しそ栽培を受注することになりました。 赤しそでいきなり小さなアクシデントでスタートした2020年。この後、まさか私に思わぬ気づきを与えるきっかけになるとは。。。 続きは2月号で。

こば農だより 2019年まとめ(総括)

2019年(営農4年目)のまとめです。営農4年目は「リセットの年」でした。前年(3年目)は、営農当初から継続してきた有機栽培でようやく経営の手応えを感じていましたが、年が明け、確定申告で作成した決算書をみると、非常に厳しい数字と不安を突きつけられました。 がんばっているけど3年経っても結果がでない。有機を強みにしてきたが売上アップの見通しが立たない。このままの状態では間違いなく破綻。。。とマイナスのイメージばかりが強くなり、思い切って「農業のやり方」を根本的に見直すことにしました。 「経営改善」を最優先にして「やめること」と「続けること」を整理し、栽培、労働、品目、販売の4つに分類して対策を講じました。 こだわり農業(有機)からあたりまえの農業(慣行)へ、ひとり農業から夫婦ふたり農業へ、野菜の種類を25品目から2品目(ズッキーニ、オクラ)へ、取引先を複数の直売所からJA1本へ、とスリム化しスタンダードな農業に変更しました。 冬は改善前に作付けした白菜、ブロッコリー、春から改善対象のズッキーニ、夏はオクラ、秋もズッキーニを栽培しました。改善後の4月から11月までは、毎日朝6時から夜20時まで1日も休むことなく農作業に専念し、毎日JAへ出荷に行きました。 結果、売上げは前年の2倍になり、大きく改善しましたが、当初から目標にしている最低売上(生活ができる最低レベル)は50%しか達成できませんでした。達成するにはさらに2倍の売上げが必要です。 また、妻には4月から薬屋さんの仕事を辞めてもらい、専業農家として増員しているので、売上げ2倍は当然で家族全体の収入は前年と変わらない結果となりました。 結局、こばやし家全体の収入としては変わりのない1年になりましたが、経営改善に向けた方針転換とその結果には十分満足しています。理由は、次年度(2020年)の売上げの見通しを立てることができたからです。 2020年(営農5年目)の計画は、2019年の応用で、さらに2倍の売上げを目指してがんばりたいと思います。

こば農だより 2019年 季節まとめ(秋)

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10月~12月の栽培記録です。 ・オクラ 出荷:7/29 ~ 10/29 収量:1,300kg 気温が下がり日照時間も短く生長もゆっくり。徐々に収量も減り10月末で栽培終了。4月まき6月まきあわせて今年の出荷合計は1,300kg。JA参考収量(1,500kg)に及ばず。 7月の日照不足、8月盆からの長雨で、今年ほどカッパを着て作業したことはない。この長雨の影響を最後まで引きずり収量が落ち込む栽培となった。 日々の収穫と仕上げに追われ、剪定、除草、病害虫対策などの管理作業が後手になったのも原因。改善の余地はたくさんある。来年の収量UPの手ごたえを感じオクラは終了する。 栽培終了時のオクラ 高さは2.5mにもなる。 JAに出荷 ・秋ズッキーニ(面積:15a 株数:850本) 種まき:8/30 定植:9/16 出荷:10/17~11/15 収量:860kg 8月中旬、お盆から長雨で畑の準備ができない。「忍耐でござる」と天気の回復を待つが週間天気予報はずっと雨。「おかしいやろ!」とYahooとTenki.jpとウェザーニュースに毎日つっ込みながら8月末になる。 9月上旬、「もう待てません。忍耐お断り。」と、強引にじゅくじゅくの畑へトラクター出動。耕うん、施肥、マルチなど畑の準備を終え、9月中旬に予定より2週間遅れて定植。 9月下旬、台風上陸。定植の遅れが幸いする。株が小さかったので風の影響を受けず。計画通り9月上旬に定植したら、間違いなく株が折れ栽培終了になっていた。農業やっててよくある不幸中の幸いをいただく。 10月中旬、収穫スタート。寒さに向うこともあり、雄花ばかりで雌花が少なく、春ほど収量は上がらない。2週間遅れがやっぱり痛い。昔の人が言う「秋はまき遅れるな」を今年も実感。 11月中旬、例年より早い「いきなり強い霜」で栽培終了。収量は春の半分になったが、販売価格がよかったので、春と同じ売上げとなる。 長雨で畑の準備ができないので 8月末に片付けたオクラの跡地へ 耕うんせずにズッキーニを直播き わりと普通に生長する 降霜前の秋ズッキーニ 降霜後のズッキーニ(終了) 凍傷でウリ科独特のにおいが漂う。 ・ニンニク(面積:3a 種まき:1...

こば農だより 2019年 季節まとめ(夏)

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7月~9月の栽培記録です。 ・オクラ 出荷:6/25 ~ 10/29 収量:1,300kg 6月下旬より収穫スタートしたが、7月の遅れた梅雨が生育に大きく影響。収穫時期に、強く、長い雨で日照不足になり、イボ果、尻ぐされ、花落ちで収量ダウン。 8月より、梅雨も終わり品質、収量回復。6月まきの収穫も始まり出荷ピーク。台風は2回上陸するも影響なく助かる。 8月下旬、ネコブセンチュウ被害が深刻化。収穫3か月目で、極端に収量が落ち込む。被害のある4月まきほ場は潔く栽培終了。 イノシシが2~3回現れて畝間の通路だけ掘り起こす悪さをするが無視。奴らはかまうと調子コク。6月まきのほ場に労力を集中。後半戦へ。 4月まきのオクラ 6月まきのオクラ ・夏ズッキーニ(180株/3a) 品種:モスグリーン 種まき:6/22  定植:7/15 出荷:8/15~8/19  収量:11kg 春、夏、秋の年3作ができれば経営的にかなりおいしい。暑さに弱いズッキーニは暖地の夏栽培はできないとJAより指導。ダメの程度がわからないのでこっそり3aだけ栽培。 結果、やっぱりダメ。株の生育は良いが雄花ばかりで雌花がでない。雌花がでてもつぼみのまま開花しない。交配ができず雄花は株についたまま腐食。 少量だが収穫できた夏ズッキーニは春に比べきれいでとても形が良い。9月中旬まで様子を見たが回復せず栽培終了。やっぱりダメなんかなあ。。。

こば農だより 2019年 季節まとめ(春)

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4月~6月の栽培記録です。 ・グリーンピース 誘引ネットの設置が遅れ、伸びた茎があらぬ方向へいき、お隣や雑草と絡まりぐちゃぐちゃ。整枝するもどうにもならず途中から放置。5月上旬収穫開始。直売所で好成績。ズッキーニが忙しくなり5月下旬で終了。 マイナス5℃に耐えたグリーンピース ・小ネギ 学校給食の要望で試験的に少量栽培。冬に育苗し3月定植、5月上旬収穫開始。栽培容易で収量もよく、50cmの中ネギで学校給食と直売所に出荷。自分と相性がよかったが、仕上げが大変。ズッキーニが忙しくなり5月下旬で終了。 <経営改善スタート>  全体の栽培面積(露地 35a) ・ズッキーニ(800株/12a) 品種:モスグリーン 種まき:3/11 定植:4/7 出荷:5/12~6/25 収量:1,700kg 土づくりや元肥は有機の技術でスタート。収穫期間は1か月の短期決戦。中盤で果実に肥料不足の症状が発生。初めて化成肥料(液肥)を使用。化学のチカラにびっくり!数日で症状が回復し品質が安定する。これはハマるわ、と納得。 出荷はJAと学校給食。梅雨の遅れも後押しし、収量、売上も目標達成。梅雨と同時に栽培終了。露地は雨が降ると受粉できず規格内の果実が採れない。 初めての本格的な栽培だが、思ったより簡単で収穫も楽しくハマる。来年もやりたい!と思うが、毎日の受粉作業で腰がつらい。筋トレが必要か。。。 順調に生長する春ズッキーニ JAに出荷 ・オクラ(10,000株/10a) 品種:ブルースカイZ 種まき:4/21、6/1 (5aずつ段まき) 土づくりと元肥は有機ベース。潅水時、追肥で化成肥料(液肥)を使用。 5月上旬、突然、苗立ち枯れが多発。初体験で原因がさっぱり見当つかず。有識者に聞きまくりJAでヒントを聞く。 マルチ穴の除草を少しでも軽減するため通常よりマルチ穴を小さくした。それが起因で畝の熱が抜けきれず高温障害が起きたと推測。マルチ穴を大きくし4月まき分の3割をまき直し。その後、問題なく成長した。 昨年までマルチ穴の直径は10cm。これを6cmに変更しただけでこんなことが。。。農業恐るべし。 4月まきのオクラ。 根元が茶色く傷んでいる。数日後に枯死。 上2つが種まき時...

こば農だより 2019年 季節まとめ(冬)

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1月~3月の栽培記録です。 ・ブロッコリー(780株/5a) 側花蕾を中心に直売所へ。順調な販売で冬場の貴重な売上げに貢献。 ・ミニハクサイ(500株/1a) 有機の流通会社と調整し全量出荷。栽培が容易で、収穫、仕上げも楽。注文確保できれば生産性のよい野菜。市場性はまだ薄く、一般消費者には、大きいハクサイの1/2、1/4カットが主体と思う。 ・ハクサイ(700株/4a) 有機の取引先と計画して栽培したが、豊作で供給過多になり取引できず。直売所では安値が続き全く売れない。村内の学校給食でありがたいことに80kg受注。9割以上(1t)廃棄。畑に鋤き込む。 「作って捨てる農業は絶対にしない!」と、決心する。 ・スナップエンドウ(700株/3a) 面倒な霜よけ対策「ナシ」にチャレンジ。1月上旬の-5℃で新芽が痛み全滅。たった1枚の不織布の偉大さを実感。思いやりがなくなるとこのような結果に。。。 ・グリンピース(300株/2a)  何事もなく生き延び、順調に越冬。スナップより寒さに強い。

こば農だより(2019年2月)

今年からJAさんをメインとして出荷することになりました。 有機栽培にこだわっていた私にとって、大きな大きな方向転換になります。年明けから行政や有識者のみなさんに貴重な意見をいただき検討を重ねた結果です。 JAさんとの取引は、有機農産物である必要はありません。外観を含む「品質」と「収量」の勝負になります。栽培の途中で、作物を守るためにどうしても必要な時は農薬を使うし、生育を見て栄養が足りないと感じたら化学肥料を使う農業に切り替えます。土づくりは有機農業の技術を継続しますが、栽培全体として、有機JASのルール外になるため「認証」は廃止の手続きを進めています。 苦渋の決断でしたが、この3年間やってきたことや自分の考え方をリセットして、「経営の改善」を最優先にしました。今後は目標の売上を達成するまで、有機と慣行の良いとこどりをした農業になります。 有機農業はしばらくお休みしますが、これまでの3年間の農業経験は無駄にはなりません。4月から新しいスタイルで営農4年目に入りたいと思います。